MQL5 無料EA -バックテスト検証 2 「Sanctions for you 」
「バックテスト検証」シリーズでは、MQL5コミュニティに登録されている無料EAについて、バックテスト結果からそのパフォーマンスを検証していきます。皆様のEA選択の際の一助になれば幸いです。
※MQL5コミュニティーからEAやインジケーターをダウンロードするには会員登録(無料)が必要ですので、こちらの記事を参考にアカウントを作成しておきましょう!
第2回目は「Sanctions for you」です。
「Sanctions for you」について
MQL5の公式ページからの引用(翻訳)
- このロボットはH1で動作します。一定のシグナルもしくはストップロス(SL)/テイクプロフィット(TP)に到達したときに取引が終了します。TPとSLは変更することができます。取引のパフォーマンスを向上させるために、SLを最適化することができます。パラメーターの設定は、未経験のトレーダーでも理解できるように極力簡略化されています。
設定項目一覧
- Progressive lot: -残高に応じて自動的にロットを計算して設定します。これを有効にするには、Fixed lot を 0 に設定します。 ※円口座には対応していません。
- Fixed lot: 固定ロット
- stop loss: ストップロス(SL)
- take profit: テイクプロフィット(TP)
Sanctions for youは EURUSD 1時間足に特化したトレンドフォロータイプのEAで、ドテンを繰り返しながらポジションを保有します。単一ポジションなので、ロットの管理は容易です。ロジックは不明ですが、バックテストでは極めて収益性が高いことがうかがえます。ただし、公式サイトでのコメントでは、このEAの評価について賛否両論あるようなので、稼働前にはコメントにも目を通されることをお勧めします。
「Sanctions for you」のトレードの様子
単一ポジションのEAで、基本的にドテンを繰り返しながらポジションを保有します。ただし、TP/SLで決済された場合は、連続して「Buy」もしくは「Sell」のポジションを取ります。
最適化範囲の決定
まず、Sanctions for youのパラメータの初期値でバックテストを実施しました。期間は、約10年間で実施しました。
- Takeprofit(TP)2,000(point)= 200 (pips)
- Stoploss(SL)2,000(point)= 200(pips)
MT5ではストラテジレポート(バックテスト結果)も改善されており、いくつかのデータ解析図が追加されました。その一つが「ポジションの保持時間と決済ポイントとの関係」を示した散布図です。
このEAでは保有したポジションの大半は黄色い丸の範囲で決済されており、下離れしたポジションのうちのいくつがSLに到達するように見えます。トレードの質に大きな影響を与えることなくSL値を調整したいので、SL値の最適化範囲を90~150 pips(900~1500 point)としました。同様に、TPについては、最適化範囲を120~180 pips(1200~1800 point)としました。
TP/SLの最適化
ストップロスの最適化
ストップロスについて900~1500 point(50point間隔)で最適化を実施したところ、損益、プロフィットファクターには大きな差はありませんでしたので、ドローダウンの小さい順にソートしました。その結果、最適化したストップロス値は 1100 pointとなりました。
テイクプロフィットの最適化
次にストップロス値を1100 pointに固定して、1200~1800 point(50 point間隔)でテイクプロフィット値の最適化を行いました。全ての項目について大きな差は認められませんでしたので、損益とドローダウンを重視してソートしました。その結果、最適化したテイクプロフィット値は1400 pointとなりました。
注意. 上記の最適化結果は、NOZAX NZXゼロ口座(ECN)で実施したものであり、筆者の主観がかなり入っています。ご利用のブローカーや口座タイプ、最適化期間によっても結果は異なります。当記事の内容はあくまでも参考程度にお留め置きください。
最適化の効果
TP/SLの最適化によって、ポジション保持時間と決済ポイントとの関係の散布図は以下の通りとなりました。最適化前はポジション最長保持時間が1053時間であったのに対して、最適化後は790時間に短縮されました。それでも、このEAは多々長時間ポジションを保持することがあるため、気長に構える必要がありそうです。
最適化後のバックテスト
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 通貨ペア: EURUSD#
- 時間軸: H1
- 初期残高: 1,000ドル
- パラメーター: takeprofit=1400, stoploss=1100
- 期間: 2013年1月~2022年8月
少額ハイレバ設定 – ドル口座のみ – (非推奨)
ここからはこのEAの真骨頂?とも言うべき、少額ハイレバ運用のご紹介です。もちろん推奨はしませんし、当然ながら自己責任であることは言うまでもありません。
残念ながら「Progressive lot」の機能は、「円口座」には対応していません。どうしても試してみたいという方は「ドル口座」をご開設ください。
Progressive lotの設定方法
EAのパラメーター設定画面で、以下のようにFixed lot(固定ロット)の欄に「0」を入力し、Progressive lotを入力します。Progressive lotは余剰証拠金1000ドル(1千通貨単位)あたりのロット数となります。
例えば、余剰証拠金1,000ドルとして、Progresive lot=0.1とすると、0.1 Lotスタートで、残高が100ドル増えるごとにロット数が0.01Lotずつ増えます(ロットステップが0.01であるため)。つまり余剰証拠金が1,100ドルになったら、0.11 Lotで取引することになります。
ハイレバレッジ設定でのバックテスト
運が良ければ波に乗れますが、往々にして期待通りにはいかないもの・・・。あくまでも、今回ご紹介するのはバックテスト(過去)の結果であり、将来を保証するものではありません。
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 通貨ペア: EURUSD#
- 時間軸: H1
- 初期残高: 100ドル
- パラメーター: takeprofit=1400, stoploss=1100, Progressive lot=0.1 ( 0.1Lot/1,000ドル = 0.01 Lot/100ドル )
つまり残高が200ドルになった時点で0.11 Lot、300ドルドルになった時点で 0.12Lotで取引します。 - 期間: 2021年9月1日~2022年8月31日(1年間)
初期証拠金残高100ドルからのスタートで1年間の利益は>9,000ドル、ざっと90倍に増えました。夢のような増え方です!この結果がこのまま続くのか、それともダメになってしまうのか?
こればっかりは神のみぞ知るってやつですね。
(自己責任で・・・。)