MQL5 無料EA -バックテスト検証 6 「Multi oscillator divergence EA MT5」
「バックテスト検証」シリーズでは、MQL5コミュニティに登録されている無料EAについて、バックテスト結果からそのパフォーマンスを検証していきます。皆様のEA選択の際の一助になれば幸いです。
※MQL5コミュニティーからEAやインジケーターをダウンロードするには会員登録(無料)が必要ですので、こちらの記事を参考にアカウントを作成しておきましょう!
第6回目は「Multi oscillator divergence EA MT5」です。
「Multi oscillator divergence EA MT5」について
MQL5の公式ページからの引用(翻訳)
このExpert Advisorは、価格とオシレーター(インディケータ)との間にダイバージェンスが発生した際に、それを認識します。通常の(Regular/Classical)ダイバージェンスと ヒドゥン(Hidden)ダイバージェンスの双方に反応します。RSI、ボリンジャーバンド、ストキャスティクス、移動平均、ADXのフィルターオプションがあり、最も強い指標のみを使用することもできます。
初期設定は「EURUSD H1」最適化されています(2015.01.01~2022.1.31のバックテストで285トレード、週平均0.8回に相当)。
特徴
- MACD、OsMA(移動平均オシレーター)、ストキャスティック、CCI、RSIのダイバージェンスを検出することができます。すべてのオシレーター/インジケータは、同時ダイバージェンス(同時に発生する)またはいくつかがマルチダイバージェンスするため、それらのいずれかを選択することができます。また、特定のオシレーター/インジケータを使用して、単一のダイバージェンスで取引することも可能です。
- 異なるストラテジーから選択した半分のポジションを決済することが可能。
- 異なる期間を持つ2つの移動平均をトレンドフィルターとして使用することができます。例えば、Slow MA 200とFast MA 12を使用することで、ヒドゥン・ダイバージェンスを得ることができます。
- スプレッドと時間のフィルター。
- ストップロス、テイクプロフィット、トレーリングストップ、ハーフポジションのクローズにADR(1日の平均レンジ幅)のパーセンテージを使用することができます。
入力パラメーター
- 入力パラメータの説明と解説はこちらです。
重要
- まず、ストラテジーテスターでバックテストを行ってください。そして、そのEAをデモ口座でテストし、少なくとも10回のトレードを行った後に、本稼働させるかどうかを決定してください。
ダイバージェンスとは?
通常の「ダイバージェンス」と「ヒドゥン・ダイバージェンス」の違いについての説明する資料として、以下の図が分かりやすいので拝借しました (資料:Trading Setups Review)。相場の買われすぎ・売られすぎを判断するオシレーター系の指標の値とレートが逆行する現象を「ダイバージェンス」と言います。
ダイバージェンス(Regular/Classical Divergence)
チャートが下降しているにも関わらず、オシレーターの数値が上昇している状況のことを通常のダイバージェンス(Regular/Classical Divergence)といい、この後トレンドが転換する場合が多いため、トレンドの転換を見極めるテクニカル指標として用いられています。
ダイバージェンスは、ダブルトップやダブルボトムなど、相場の天底が意識される局面で出現するシグナルです。
- トレンドの勢いが失速 ⇒ トレンドの終了を意味します。
トレンドには当然、上昇・下落がありますので、以下のように判断します。
- 上昇トレンド中のダイバージェンス: チャートは上値更新/オシレーターは下落
- 下落トレンド中のダイバージェンス: チャートは下値更新/オシレーターは上昇
ヒドゥンダイバージェンス(Hidden Divergence)
一方、ヒドゥンダイバージェンスはトレンドが続いている局面で出現するシグナルで、トレンドの継続を確認するためのテクニカル指標として用いられています。
- 押し目・戻しの行き過ぎの調整 ⇒ トレンドの継続を意味します。
トレンドには当然、上昇・下落がありますので、以下のように判断します。
- 上昇トレンド中のヒドゥンダイバージェンス: チャートは下値上昇/オシレーターは下落
- 下落トレンド中のヒドゥンダイバージェンス: チャートは上値下落/オシレーターは上昇
通常のダイバージェンスとヒドゥンダイバージェンスの見分け方
ダイバージェンスとヒドゥンダイバージェンスは、根本的に出現する局面が違うので、惑わされることはないとは思いますが、一応まとめておくと、以下のようになります。ご参考までに。
ダイバージェンス
- 上昇トレンド中であれば、【直近の上値】に注目
- 下落トレンド中であれば、【直近の下値】に注目
ヒドゥンダイバージェンス
- 上昇トレンド中であれば、【直近の下値】に注目
- 下落トレンド中であれば、【直近の上値】に注目
「Multi oscillator divergence EA MT5」のトレードの様子
初期設定(EURUSD H1に最適化)
このEAは、初期設定では通常のダイバージェンスのみを検出するように設定されており、トレンドの転換を狙って「逆張り」にエントリーします。
パラメーターの設定
- Main Ocirator:OsMA
REGULAR DIVERGENCE SETTING(トレンド転換)
- Trade regular:true
HIDDEON DIVERGENCE SETTING(トレンド継続)
- Trade hiddeon:false
初期設定でのバックテスト
EURUSD H1
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 通貨ペア: EURUSD#
- 時間軸: H1
- 初期残高: 10,000ドル
- パラメーター: ロット数を「0.1」に変更した以外は初期設定のまま
- 期間: 2015年1月1日~2022年11月30日
- このEAはバックテストでの挙動を見る限り、なかなか絶妙なポイントでエントリーします。収益性は高くはなさそうなので、位置付けとしては、ポートフォリオを構成する1EAですね。
検討中のEAが本当に使えるのかを判断するには、
- デモ口座で実際に稼働してみる。
- 少し時が経ってフォワード期間が延びてきた時点で、バックテストによってその期間の挙動/結果を検証する。
- どんな相場でも通用するべきという観点から、長期バックテストを実施し、そのEAの持つ耐性を見る。
まずは、興味を持ったEAを実際に試してみて、特徴を掴むところからはじめるのが良いかと思います。大事なのは、どのようなEAなのか、特徴を掴むこと。そういった意味で、MQL5マーケットの無料EAなら、とりあえず試してみよう!が可能なのでおすすめですよ!