MQL5 無料EA -バックテスト検証 17「Dark Moon MT5」
「バックテスト検証」シリーズでは、MQL5コミュニティに登録されている無料EAについて、バックテスト結果からそのパフォーマンスを検証しています。皆様のEA選択の際の一助になれば幸いです。
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第 17 回目は「Dark Moon MT5」です。
「Dark Moon MT5」について
MQL5公式ページからの引用(翻訳)
全ての設定が変更できるので、誰でも好きなようにロボットを設定することができます。最初のポジションは基本戦略はトレンドフォローで成行注文から始まりますが、カウンタートレードに変更することも可能です。
注意点
- ロボットのダウンロードには、最適化の経験が必要です。
推奨
- 推奨する時間軸は設定によって異なりますが、基本的には「M5」、「M15」、「H1」、設定次第で全ての時間軸で使用可能です。
- このEAは、EURUSD、GBPUSD、NZDUSD、USDCHFに対応しています。設定次第でその他の通貨ペアにも対応しています。
- ECNブローカーを推奨します。
- 低遅延のVPSを推奨します。
- 推奨レバレッジ、推奨資金量は設定次第です。
- ユーザーマニュアルおよび設定例をお読みいただき、EAがどのように動作するかをご理解いただいた上でご利用ください
パラメーター
Dark Moon Settings
- Magic Number: 注文のID番号
- Max Spread: 取引可能な最大スプレッド
Money Management Settings(マネーマネージメント)
- Lots: ロット数(マネーマネジメント・オプションが無効の場合)
- Money Management: trueの場合、マネーマネジメント・オプションが有効
- Risk Percent: リスク率(マネーマネジメント・オプションが有効の場合)
Indicators Settings(インジケーターの設定)
- Enable Dark Absolute Trend: trueの場合、インジケータを使用
- Dark Absolute Trend Strategies: エントリの仕方(トレンドフォロー、逆張り)
- Moment of the Signal: シグナルを現在のバーで実行するか、前のバーの終値で実行するかを決定します。
- Dark Absolute Trend Period: Dark Absolute Trend インジケーターの期間設定
- Dark Absolute Trend Timeframe: Dark Absolute Trendインジケーターの設定時間軸(timeframe)
Trading Hour(取引時間の設定)
- Enable Time Filter: trueの場合、時間設定が有効
- Trading Start Hour: 取引開始(時間)
- Trading Start Minute: 取引開始(分)
- Trading Stop Hours: 取引終了(時間)
- Trading Stop Minute: 取引終了(分)
- Close Out of hours: 取引終了時に全ての注文をクローズするかどうか
Trading Directions (取引の方向)
- Allow Buy: trueの場合、買い注文での取引を許可
- Allow Sell: trueの場合、売り注文での取引を許可
- Allow Buy and Sell at the same time: trueの場合、売り買いの発注を許可
- Allow Order From Others Charts, At Same Time: trueの場合、他のチャートからの注文を許可(EAが他のペアでポジションをとっている場合など)
Trading Settings (取引の設定)
- Max Buy Orders: 買い注文の最大数
- Max Sell Orders: 売り注文の最大数
- One Trade Bar: trueの場合、1バーにつき1注文のみ許可
「Dark Moon MT5」のトレードの様子
Dark Moon MT5は、Dark Absolute Trend MT5インジケーターに従って、いくつかのストラテジーで取引します。
このインディケーターは、トレンド・フォロー戦略に基づいていますが、ローソク足パターンやボラティリティも使用しています。
ポジションは増えず、順調に決済できている状態
ポジションが積み上がり、その後、決済に至った状態
以下のように、下げ局面で買い「Buy」ポジションが積み上がっていっている際、シグナルに従い反対売買の売り「Sell」トレードを行い、買いナンピン中にも利益を確保します。
- このEAは、レートが逆行した場合(等差ですが)マーチンゲール方式でロット数を増やします。初期設定では、初期ロット0.01、2ポジション目以降は0.02 ⇒ 0.03 ⇒ 0.04 ⇒ 0.05 ⇒ … のように増えます。初期ロットを2倍の0.02に設定すると、その後0.04 ⇒ 0.06 ⇒ 0.08 ⇒ 0.10 ⇒ … のように増加するロットも2倍になります。
- つまり資金量に合わせたスケールアップが容易と言えます。
対応通貨ペア/時間軸のスクリーニング
まずは、いつものようにMT5の「全ての気配値表示銘柄についてテストする機能」を使用してバックテストを実施しました。テスト条件は、NOZAXゼロ口座(ECN)、初期残高10,000ドル、期間2008年1月1日-2022年12月31日、パラメーターは初期設定、時間軸はM5, M15, M30, H1としました。
- 比較銘柄:20通貨ペア – AUDJPY#, AUDNZD#, AUDUSD#, CADJPY#, CADCHF#, CHFJPY#, EURAUD#, EURCHF#, EURGBP#, EURJPY#, EURUSD#, GBPAUD#, GBPCAD#, GBPCHF#, GBPJPY#, GBPUSD#, NZDUSD#, USDCAD#, USDCHF#, USDJPY#
- M5
- M15
- M30
- H1
ドローダウンの大きさによる選抜
筆者はマーチンゲールタイプのEAを最適化する際、「ドローダウンが小さく、長期間にわたりストップアウトしない」ことを最優先に選抜します。(スクリーニング方針の違いにより、EAの作者様が推奨する対応通貨等とは異なる場合が多々ありますがご了承ください。)
上表内の枠で囲った通貨ペアがストップアウトせず安定運用できる可能性がある通貨ペアです。その中でも、ドローダウンが小さいと思われるのが、M30のCHFJPY#とH1のUSCAD#, EURGBP#, USDJPY#, AUDJPY#, NZDUSD#, GBPJPY#, USDCHF#, CADJPY#, CADCHF#の10組です。
個別のバックテスト
詳細な損益曲線については、上表の数値からだけではわからないので、スクリーニングによって得られた10組について個別にバックテストを実施しました。
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 初期残高: 10,000ドル
- パラメーター: 初期設定
- 期間: 2008年1月1日~2022年12月31日
- P/D=Total Net Profit/Equity Drawdown Maximal
- CHYJPY# M30
Total Net Profit:
3516.51 USD
Equity Drawdown Maximal:
2967.12 USD
P/D ≒ 1.19
- USDCAD# H1
Total Net Profit:
1592.42 USD
Equity Drawdown Maximal:1020.64 USD
P/D ≒ 1.56
- EURGBP# H1
Total Net Profit:
2773.06 USD
Equity Drawdown Maximal:
1965.70 USD
P/D ≒ 1.41
- USDJPY# H1
Total Net Profit:
1729.66 USD
Equity Drawdown Maximal:
1661.21 USD
P/D ≒ 1.04
- AUDJPY# H1
Total Net Profit:
1606.94 USD
Equity Drawdown Maximal:
1890.81 USD
P/D ≒ 0.84
- NZDUSD# H1
Total Net Profit:
1773.22 USD
Equity Drawdown Maximal:
2096.64 USD
P/D ≒ 0.84
- GBPJPY# H1
Total Net Profit:
1936.54 USD
Equity Drawdown Maximal:
1834.40 USD
P/D ≒ 1.06
- USDCHF# H1
Total Net Profit:
1958.38 USD
Equity Drawdown Maximal:
2038.09 USD
P/D ≒ 0.96
- CADJPY# H1
Total Net Profit:
1815.09 USD
Equity Drawdown Maximal:
1887.21 USD
P/D ≒ 0.96
- CADCHF# H1
Total Net Profit:
1114.73 USD
Equity Drawdown Maximal:
1751.14 USD
P/D ≒ 0.63
短い時間枠で稼働させた場合の収益性の高さは魅力的ですが、運用開始時期によっては、あっさり資金をなくすのではないかと思います。リスクを軽減するためには、H1での運用も視野に入れても良いのではないでしょうか。
最適化によって成績が向上する可能性がありますので一概には言えませが、上記バックテスト結果から判断すると、利益/余剰金最大ドローダウンの値が大きく、最も安定していると推定されたのは、USDCAD H1でした。ただし、利益自体は物足りないと思われるので、資金量に応じてロット数を調整しても良いかもしれません。
USDCAD H1でのバックテスト
USDCAD# H1
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 初期残高: 10,000ドル
- パラメーター: 初期設定
- 初期ロット数: 0.03 Lot
- 期間: 2008年1月1日~2022年12月31日
いつも言うようですが、ナンピンマーチンゲールタイプのEAには万が一のことが十分にあり得ますので、油断は禁物ですよ!