MQL5 無料EA -バックテスト検証 25「Dark Mimas MT5」
「バックテスト検証」シリーズでは、MQL5コミュニティに登録されている無料EAについて、バックテスト結果からそのパフォーマンスを検証しています。皆様のEA選択の際の一助になれば幸いです。
※MQL5コミュニティーからEAやインジケーターをダウンロードするには会員登録(無料)が必要ですので、こちらの記事を参考にアカウントを作成しておきましょう!
第 25 回目は「Dark Mimas MT5」です。
このEAもマーチンゲールタイプのEAです。
そうなるとやるべきことは1つ。破綻する可能性の低い条件を見つけるだけです。
「Dark Mimas MT5」について
MQL5公式ページからの引用(翻訳)
Dark Mimasは、スキャルピングトレードのための完全自動のExpert Advisorです。このExpert Advisorの使用には注意が必要ですが、高度にカスタマイズ可能なのが特徴です。
Dark Mimasは、Dark Oscillator MT5インジケータをベースにしており、これらの取引はいくつかの戦略で管理することができます。
基本戦略はカウンタートレードですが、トレンドフォローに変更することも可能です。
推奨
- 推奨する時間枠は設定によって異なりますが、基本的には「M5」、「M15」、「H1」、設定次第で全ての時間枠で使用可能です。
- このEAは、EURUSD、GBPUSD、AUDCAD、AUDCHFに対応しています。設定次第でその他の通貨ペアにも対応しています。
- ECNブローカーを推奨します。
- 低遅延のVPSを推奨します。
- 推奨レバレッジ、推奨資金量は設定次第です。
- ユーザーマニュアルおよびいくつかの設定例をお読みいただき、EAがどのように動作するかをご理解いただいた上でご利用ください。
パラメーター
Dark Mimas Settings
- Magic Number: 注文のID番号
- Max Spread: 取引可能な最大スプレッド
Money Management Settings(マネーマネージメント)
- Lots: ロット数(マネーマネジメント・オプションが無効の場合)
- Money Management: trueの場合、マネーマネジメント・オプションが有効
- Risk Percent: リスク率(マネーマネジメント・オプションが有効の場合)
Indicators Settings(インジケーターの設定)
- Dark Oscillator Strategies: ストラテジーの説明は非常に直感的ですが、そうでない場合はユーザーマニュアルを参照してください。
- Dark Oscillator Period: Dark Oscillator インジケーターの期間設定
- Dark Oscillator Method: Method for Dark Oscillator Indicator
- Dark Oscillator Applied Price: インジケーターの適用価格
- Dark Oscillator Up Level: インジケーターのレベル設定(Up Level)
- Dark Oscillator Down Level: インジケーターのレベル設定(Down Level)
- Dark Oscillator Additional Rules: Dark Oscillatorの追加ルール
- Dark Oscillator Timeframe: インジケーターの設定時間軸(timeframe)
Trading Hour(取引時間の設定)
- Enable Time Filter: trueの場合、時間設定が有効
- Trading Start Hour: 取引開始(時間)
- Trading Start Minute: 取引開始(分)
- Trading Stop Hours: 取引終了(時間)
- Trading Stop Minute: 取引終了(分)
- Close Out of hours: 取引終了時に全ての注文をクローズするかどうか
Trading Directions (取引の方向)
- Allow Buy: trueの場合、買い注文での取引を許可
- Allow Sell: trueの場合、売り注文での取引を許可
- Allow Buy and Sell at the same time: trueの場合、売り買いの発注を許可
- Allow Order From Others Charts, At Same Time: trueの場合、他のチャートからの注文を許可(EAが他のペアでポジションをとっている場合など)
「Dark Mimas MT5」のトレードの様子
Dark Minas MT5は、Dark Oscillator MT5インジケータをベースに、いくつかのストラテジーで取引します。基本的にカウンタートレード戦略に基づいてエントリーし、逆行した場合には、マーチンゲール方式でロットを増やします。
※ Dark Minas MT5にはEA内部にDark Oscillator MT5 インジケーターが組み込まれていますので、別途ご用意いただかなくても、EA自体は問題なく稼働します。
推奨条件の通貨ペアのスクリーニング
公式ページでは、当EAの推奨通貨ペアはEURUSD、GBPUSD、AUDCAD、AUDCHFで、時間枠はM5, M15, H1とされています。そこで、まずこれらについてバックテストを実施しました。
いつものように「気配値ウィンドウに表示している全ての銘柄について、一度にバックテストして比較する機能」を用いてスクリーニングを試みました。テスト条件は、NOZAXゼロ口座(ECN)、初期残高10,000ドル, 期間2018年1月1日~2022年12月31日、EAのパラメーターは初期設定です。
- 比較銘柄:4通貨ペア – EURUSD#, GBPUSD#, AUDCAD#, AUDCHF#
M5
M15
H1
- テスト結果から、候補として残ったのはAUDCAD M15 のみでした。H1で全滅したのは意外でしたが、マーチンゲールでは何があるかわからないということでしょうか。
次にいつもならAUDCAD M15単独でのバックテスト結果をお示しするところですが、今回は先に推奨条件以外の通貨ペアのスクリーニング結果をお示しします。(特に意味はありません・・・。)
推奨条件以外の通貨ペアのスクリーニング
推奨通貨ペア以外で使用できる通貨ペアを探るために、18組の通貨ペアを加えて、同様のテストを実施しました。テスト条件は同じで、NOZAXゼロ口座(ECN)、初期残高10,000ドル、期間2008年1月1日~2022年12月31日、パラメーターは初期設定です。
- 比較銘柄:22通貨ペア – AUDCAD#, AUDCHF#, AUDJPY#, AUDNZD#, AUDUSD#, CADJPY#, CADCHF#, CHFJPY#, EURAUD#, EURCHF#, EURGBP#, EURJPY#, EURUSD#, GBPAUD#, GBPCAD#, GBPCHF#, GBPJPY#, GBPUSD#, NZDUSD#, USDCAD#, USDCHF#, USDJPY#
M15
H1
- スクリーニングの結果、推奨条件のAUDCAD M15と推奨条件以外のUSDCAD M15、USDCAD、GBPCAD、CADCHF H1が候補として残りました。
選抜された通貨ペアのバックテスト
これらの通貨ペアで運用した際に遭遇する可能性のある証拠金ドローダウン(Equity Drawdowon)の大きさを計るため、選抜された通貨ペアについて個別のバックテストを実施しました。これによって取引開始時期の違いによって、ストップアウトするか否かがわかります。
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 初期残高: 10,000ドル
- パラメーター: 初期設定 default
- 期間: 2008年1月1日~2022年12月31日
AUDCAD M15
USDCAD M15
USDCAD H1
GBPCAD H1
CADCHF H1
上記の結果から、初期残高10,000ドルスタートでも、USDCAD H1、GBPCAD H1以外は取引開始時期次第で含み損に伴うストップアウトに遭遇するという結果となりました。
M15の収益性の高さは魅力的ですが、かなりの資金量がないと危険です。むしろ、H1あたりでドローダウンの小さそうな通貨ペアをスクリーニングし、パラメーターの最適化に臨まれてはいかがでしょうか?
マーチンゲールEAの選抜(最適化)基準
マーチンゲールEAに限らず、FXの運用に際して、ドローダウンが小さく、ストップアウトに見舞われないことが第一です。例え10年間大丈夫でも、明日、大きなドローダウンに遭遇するかもしれないのが、マーチンゲールEAの怖いところです。
これを回避するには、常に「余裕を持った資金で運用すること」に限ります。
バックテストで挙動をよくご確認の上、運用条件・資金をお決めください。特に含み損(損益グラフ:下髭)に注意を払い、運悪く運用開始直後にドローダウンに遭遇してしまった場合でも、余裕もって切り抜けられるだけの資金での運用をお勧めします。
改めて、筆者がマーチンゲールEAを選抜(最適化)する際の基準を記しておきますね。ただし実際にそのEAを使用するかどうかについては、好みもありますので、また別の話ということで。
- ドローダウン(含み損)が小さいこと(長期にわたってストップアウトしないこと)
- トレード数が十分にあること
- ドローダウンの大きさと収益のバランスがとれていること