MQL5 無料EA -バックテスト検証 15「CAP Breakout EA MT5」
「バックテスト検証」シリーズでは、MQL5コミュニティに登録されている無料EAについて、バックテスト結果からそのパフォーマンスを検証しています。皆様のEA選択の際の一助になれば幸いです。
※MQL5コミュニティーからEAやインジケーターをダウンロードするには会員登録(無料)が必要ですので、こちらの記事を参考にアカウントを作成しておきましょう!
第 15 回目は「CAP Breakout EA MT5」です。
「CAP Breakout EA MT5」について
公式ページからの引用(翻訳)
当EAには、ZikZakブレイクアウト、デイリーキャンドルブレイクアウト、ロンドン時間ブレイクアウト、ピボットポイントブレイクアウなど複数のブレイクアウト戦略を使用しています。カスタマイズ可能な取引シナリオやポジション管理機能に加え、カスタマイズ可能な取引セッション、マーチンゲールモードや逆マーチンゲールモードなど、多くの便利な機能を提供しています。
- 使いやすくカスタマイズ可能なMACD設定。
- グリッドトレードが可能
- ブレークイーブン、SL、TP、トレーリングストップのカスタマイズが可能
- ECN/非ECNブローカーで動作します。
- マーチンゲール機能を実装
- カスタマイズ可能なインジケータ設定
- FXセッションによるフィルタリング取引
- 内蔵のマネーマネジメント
- ニュースフィルター内蔵。ニュースサイトからEAが自動的にニュースデータをダウンロード
EAへの入力により、4つの異なる取引方法が選択可能です。
- 両建て(ロングとショート): EAは強気のMAクロスオーバーで買い、弱気のクロスオーバーのシグナルで売り、両方の取引を行います。
- 任意: シグナルが最初に来たときに、任意の1つのトレードをオープンする(買いまたは売り)
- ロングのみ: 強気シグナルで買い、弱気シグナルを無視します。
- ショートのみ: 弱気シグナルで売り、強気シグナルを無視します。
さらに、4つの異なる資金管理モードを実装しています。
- マニュアルロットサイズ: 固定ロットサイズで取引します。
- ロットサイズの自動計算: 口座段高に応じてロットサイズを自動的に変化させます。
- マーチンゲール: 負けトレード後、ロットサイズを2倍にします。
ユーザーガイドはこちら
「CAP Breakout EA MT5」のブレイクアウト戦略
デイリーキャンドルブレイクアウト
- 買い :前日のローソク足(日足)の高値をブレイクアウトしたとき
- 売り :前日のローソク足(日足)の安値をブレイクアウトしたとき
ZikZakブレイクアウト
- 買い :ZikZakラインの upper価格にタッチした時
- 売り :ZikZakラインの lower価格にタッチした時
もし現在の価格がすでにzikzak価格より上か下であれば、EAはブレイクアウトシグナルのために最も近いzikzakラインの上か下を探します。
フラクタルブレイクアウト
- 買い :フラクタルラインの upper価格にタッチした時
- 売り :フラクタルラインの lower価格にタッチした時
現在の価格がすでに現在のフラクタル価格より上または下にある場合、EAはブレイクアウトシグナルのために最も近い上下のフラクタル価格を探します。
インサイドバーキャンドルブレイクアウト
いくつかのキャンドルが完全にろうそくの内側にある時、それらをインサイドバーと呼びます。外側のろうそく足がシグナルキャンドルです。シグナルキャンドルの高値または安値をブレイクアウトすると、EAが取引を開始します。
- Min. Bar In (Inside Bars) – 1本のローソク足の中に何本ローソク足があれば、Eaはそのローソク足を有効なシグナルローソク足とみなすかを設定する必要があります。
- Min. Candle Range for (Inside Bars) – 有効なシグナルキャンドルには、シグナルキャンドルの高値-安値の最小範囲を設定する必要があります。0は無効を意味します。
- 買い :シグナルキャンドルの高値をブレイクアウトしたとき
- 売り :シグナルキャンドルの安値をブレイクアウトしたとき
ロンドン時間ブレイクアウト
- 買い :Start TimeからEnd Time(タイムゾーン)間の高値を更新したとき
- 売り :Start TimeからEnd Time(タイムゾーン)間の安値を更新したとき
ピボットポイントブレイクアウト
当EAにおけるピボットポイントブレイクアウト戦略には、Camarilla Pivot(カマリリャピボット)と呼ばれる、従来のピボットポイントの修正バージョンが用いられています。これは、システム内にフィボナッチ比率を組み込んだピボットポイントです。前日の高値、安値、終値をもとに、5つの支持線(L1~L5)と5つの抵抗線(H1~H5)の合計10個のレベルを決定する式があります。
Camarilla Pivot
H5 = (High/Low) × Close
H4 = Close + RANGE × 1.1/2
H3 = Close + RANGE × 1.1/4
H2 = Close + RANGE × 1.1/6
H1 = Close + RANGE × 1.1/12
L1 = Close – RANGE × 1.1/12
L2 = Close – RANGE × 1.1/6
L3 = Close – RANGE × 1.1/4
L4 = Close – RANGE × 1.1/2
L5 = Close – (H5 – Close)
Close=前日の終値
RANGE=前日の高値-前日の安値
H1-H5: 「R1-R5」と同意
L1-L5: 「S1-S5」と同意
H4(R4)、L4(S4)がブレイクアウトポイントとされています。
「CAP Breakout EA MT5」のトレードの様子
- 様々な戦略によってブレイクアウトポイントを捉え、スキャルピングによって利益を重ねます。逆行した場合、マーチンゲール方式でロットを増やして切り抜けます。
- 取引ロット数は、初期ロット0.01の場合、0.02 ⇒ 0.02 ⇒ 0.03 ⇒ 0.05 ⇒ … (×1.5)と増えます。初期ロットを0.03に変更すると、ロット数は、0.05 ⇒ 0.07 ⇒ 0.10 ⇒ 0.15 ⇒ … (×1.5) のように変化します。小数点以下2桁に四捨五入されますので多少ずれが生じるのです。
対応通貨ペアのスクリーニング
使用可能な通貨ペア候補をスクリーニングするために、まずは、直近3年間と2013年1月~2015年12月のヒストリカルデータを用いてバックテストを実施しました。時間軸についてはM15、M30、H1で比較したところ、大差はありませんでした。わずかM30で成績が良かったのでM30を採用しました。
その他のテスト条件は、NOZAX ゼロ口座(ECN)、初期残高10,000ドル、EAのパラメーターは初期設定としました。
- 比較銘柄:20通貨ペア – AUDJPY#, AUDNZD#, AUDUSD#, CADJPY#, CADCHF#, CHFJPY#, EURAUD#, EURCHF#, EURGBP#, EURJPY#, EURUSD#, GBPAUD#, GBPCAD#, GBPCHF#, GBPJPY#, GBPUSD#, NZDUSD#, USDCAD#, USDCHF#, USDJPY#
直近3年間と過去の成績の比較
2020.1.1~2022.12.31
2013.1.1~2015.12.31
- 直近3年と過去のバックテスト結果から、両方で成績が良かった通貨ペアは「EURCHF」のみでした。
EURCHFでのバックテスト
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 通貨ペア: EURCHF#
- 時間軸: M30
- 初期残高: 10,000ドル
- パラメーター: 初期設定のまま
- 期間: 2013年1月1日~2022年12月31日
このEAは、マーチンゲール手法で勝率を高める一方で、ストップロスを設定して、損失が必要以上に膨らむのを抑えています。ただし連続してストップロスに遭遇すると、挽回に時間がかかるため、なるべく安定した損益曲線が得られる通貨ペアを選択するのがポイントです。
また、損失が限られるため、比較的ロットを増やしやすいわけですが、前述した様に、初期ロットをn倍に増やした場合、単純にトレード全体のスケールがn倍になるわけではありません。少しのずれがトレードに影響する可能性もありますので、ロットを変更する際はその都度、バックテストを実施するようにしましょう。
ストップロスを設定したマーチンゲールタイプのEAはリカバリーできずに終わるものが大半です。そういった意味で、なかなか希少なEAと言えるかもしれません。