MQL5 無料EA -バックテスト検証 14「ARCA bot」
「バックテスト検証」シリーズでは、MQL5コミュニティに登録されている無料EAについて、バックテスト結果からそのパフォーマンスを検証しています。皆様のEA選択の際の一助になれば幸いです。
※MQL5コミュニティーからEAやインジケーターをダウンロードするには会員登録(無料)が必要ですので、こちらの記事を参考にアカウントを作成しておきましょう!
第 14 回目は「ARCA bot」です。
「ARCA bot」について
MQL5の公式ページからの引用(翻訳)
昔から定評のあるグリッド戦略を現代の状況に適応させた、フル機能の非シンジケーション型(独立型?)の自動システムです。この方法論は金融市場の創世記から登場し、何十年にもわたって良い結果を示してきたため、今でも多くのプロのトレーダーやヘッジファンドに使用されています。エキスパートは完全に自動化されており、1日24時間稼動させる必要があるため、エキスパートの作業の中断を防ぐためにVPSサーバーを使用することをお勧めします。
概要
- Platform(プラットフォーム): MT5
- time frame(時間軸): 任意
- Markets(市場): 外国為替、暗号通貨、株式、先物
- Modes(取引モード): 買いのみ、売りのみ、買い&売り
特徴
- 完全自動化
- 使いやすい
- パラメータのカスタマイズが可能
- 注文量、注文ステップの増加機能を搭載
パラメーター
- Maximum slippage
- Trade mode
- Number of orders
- Volume of the first order
- Increase of order volume
- Step for the first order
- Step of orders
- Increase of step of orders
- Take Profit
- Stop Loss
このEAについて
このEAは汎用ツールであり、その成功は基本戦略の理解とそれを設定する能力に依存します。このEAは、すべての市場環境で利益を上げることはできませんし、そうであるかのように装うこともありません。ストラテジーテスターの助けを借りて、各商品とタイムフレームに最適なパラメータを見つける必要があります。
「ARCA bot」のトレードの様子
ポジションの取り方
ポジション取得後、逆行した場合、指値(リミット)Grid 注文によってポジションを重ねます。ポジションの取得状況に応じてTakeProfit(TP)の価格を自動的に移動させ、トータルで利益が出た時点(TPに達した時点)で、全ポジションをまとめて決済します。トレンドの転換時やレンジ相場の際には、買い指値(リミット)、売り指値(リミット)のGrid(網)を自動的に変更します。
指値注文のロット設定
First order volume=0.1、Increse order volume=1.2に設定した場合、指値のLot数は、
0.10 ⇒ 0.12 ⇒ 0.14 ⇒ 0.17 ⇒ 0.20 ⇒
0.24 ⇒ 0.29 ⇒ 0.35 ⇒ 0.42 ⇒ 0.50
のように増えます。バックテストでロットの取り方をきちんと把握した上で設定値をお決めください。
対応通貨のスクリーニング(初期設定)
このEAは使用する通貨や時間軸に対して、最適化を行うことを前提に作られています。まず、どの通貨を最適化するのが良いのかを推定するために、初期設定のままで、MT5の「気配値ウィンドウに表示している全ての銘柄についてバックテストする」機能を用いてスクリーニングを行いました。
条件は、NOZAX ゼロ口座(ECN)、初期残高10,000ドル, 期間2018年1月1日~2022年12月31日、EAのパラメーターは初期設定としました。なお時間軸の違いは成績に大きな差は及ぼさないようでした。とりあえずH1で実施することにしました。
通貨ペア毎の成績は『Complex Criterion max(Total Trades, Drawdown, Recovery Factor, Expected Payoff, Sharpe Ratioから算出されるトレードの質に関する複合的な値)』で順位付けしました。
- 比較銘柄:20通貨ペア AUDJPY#, AUDNZD#, AUDUSD#, CADJPY#, CADCHF#, CHFJPY#, EURAUD#, EURCHF#, EURGBP#, EURJPY#, EURUSD#, GBPAUD#, GBPCAD#, GBPCHF#, GBPJPY#, GBPUSD#, NZDUSD#, USDCAD#, USDCHF#, USDJPY#
最適化を実施する際、まずは収益がプラスにならないと始まらないので、興味のある方は、上表を参考にして通貨ペアを選択して「最適化」をお進めください。ただしこのEAは「始値のみ」でのバックテスト結果と「Every Tick」でのバックテストの結果が著しく異なるため、最低化は「Every Tick」を使用して行う必要があります。
USDCADでのバックテスト
評価値の最も高かったUSDCADについて個別にバックテストを実施しました。基本的にパラメーターは初期値のままとしましたが、MaxOrders :(指値注文「Grid」の本数) だけは「12」に変更しました。
USDCAD H1
- 口座: NZXゼロ(ECN)(NOZAX)
- 通貨ペア: USDCAD#
- 時間軸: H1
- 初期残高: 10,000ドル
- パラメーター: MaxOrders=12 以外は初期値
- 期間: 2018年1月1日~2022年12月31日
Arca botもグリッドタイプのEAで、設定によってはマーチンゲール方式でロットを増やします。マーチンゲールタイプあるいはグリッドタイプのEAについては、人それぞれリスク許容度が違いますので賛否両論ありますが、リスキーであることは誰しもが認める事実です。こういったタイプのEAについては、いつも以上に念入りにバックテストを実施して、納得された上でご利用ください。